春ねむり は歌わない、それでも「ポップ」だ

音楽

昨年2018年のNHK紅白歌合戦に初出場し、米津玄師が手掛けた楽曲「打上花火」を歌ったDAOKO。
熱唱後の号泣が話題になったり、最近は、もうラッパーではないなど言われるが、彼女は、ニコニコ動画出身の女性ラップシンガーである。

昨今、世界的に主流になっているR&Bやヒップホップは、私のストライクゾーンである、ロック、ポップ。
エレキギターを中心とした楽曲で、身体が思わず揺れ動いてしまうリズムを重視するロック。
ヴォーカルを中心とした楽曲で、思わず口ずさんでしまう歌やメロディを重視するポップ。からは外れる。

そんな嗜好の中、それでも注目している女性ラップシンガー。
それが「春ねむり」である。

1995年生まれ、横浜市出身。17歳からバンドでシンセサイザーを担当し、慶應義塾大学在学中、21歳の時に突如ラッパーへ転向。
2016年10月、ミニアルバム「さよなら、ユースフォビア」でデビュー。精力的なライブ活動のほか、楽曲提供も行なっている。

デビュー盤も聴いていたが、名前を記憶したのは、後藤まりことのコラボ楽曲「とりこぼされた街から愛をこめて」を聴いた時だったと思う。
そして、昨年2018年4月にリリースされた1stフルアルバム「春と修羅」収録のリード曲「せかいをとりかえしておくれ」を聴いて、どハマりしたのだった。

春ねむり「せかいをとりかえしておくれ」Music Video

そんな彼女が24歳になった誕生日2019年1月10日に、dues新宿で行なったワンマンライブ「ひとりでねれるもん! vol.3」に足を運んだ。

新宿東口からすぐのビルの4階にある小さなイベントスぺース。この日は、2drinkのみの無料ライブ。公称キャパ60人を超えるファンが会場に詰めかけていた。
印象的だったのは、1割ほどいた外国人の姿。女性は2割くらい。年齢は30代を中心に20~40代といったところか。

定刻を少し過ぎた頃、ライブがスタート。
1曲目にいきなりの新曲には面を食らったが、軽くMCを挟んで、初期の代表曲「いのちになって」「せかいをとりかえしておくれ」を続け、観客を引き込んでいった。

彼女の独特のリズム感や言葉選びを、シンセにギター、ノイズなどが彩る。
ソングライター、トラックメイカーとしての手腕を存分にふるった楽曲が続く。
むき出しの声と叫びを浴びながら、思わずサビを彼女と一緒に叫ぶ。
このむき出しの声、シャウト、リズム、メロディーには中毒性がある。

ラップが苦手ジャンルにも関わらず、ここまですんなり受け入れられるのは、彼女のルーツがロックンロールであると語ることも関係しているのかもしれない。
リズムには、ロックを感じる。どこかバンド感があるのだ。それとポエトリーとの組み合わせが新鮮だ。
ライブでのVJの映像も、サウンドに合い、没入感を深める。
すっかりそのライブパフォーマンスに魅了され、思わず身体は揺れ動き、思わずシャウトしてしまった。

ラスト曲も新曲で締め、1時間強のライブが終わった。
彼女はアンコールをしない。本編だけで潔く締めるのはとても好感がもてる。

売れ筋のポエトリーラップや特に女の子のラップは、サビで歌になることが多いのだが、春ねむりは決して歌わない。
定義からすると、歌わないポップはおかしい。

でも、春ねむりは、歌わないのにポップスターになれる。

そんなことを思いながら、会場をあとにしたのだった。

春ねむり ワンマンライブ「ひとりでねれるもん! vol.3」2019年1月10日 dues新宿 セットリスト

  1. 新曲
  2. いのちになって
  3. せかいをとりかえしておくれ
  4. 東京
  5. zzz
  6. SAYONARA BABY PINK
  7. ゆめをみている
  8. 夜を泳いでた
  9. 新曲
  10. 新曲
  11. ロックンロールは死なない
  12. 鳴らして
  13. アンダーグラウンド
  14. ナインティーン
  15. 春と修羅
  16. 新曲

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